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今日はリサイクルショップ運営に必須の古物商について第二回【古物商とは②】です。
第一回では古物商になるメリットなどを始め、まずは古物商になるためには”古物商許可”が必要だということをお伝えしました。リサイクルショップを開業するうえでどんな物を取り扱うか、どのような方法で営業するか等様々、検討することかと思います。
実は対象とする物以外にも『どのような方法で取引を行うか』という点でもリサイクルショップは古物営業に該当する為、古物商許可の取得が必要といわれています。では何がどう該当しているのか・・・・古物商許可を取得するうえでの最低限の知識として、今回はそこをより詳しく見ていこうと思います。
参考サイト①→【古物商】許可が必要か不要かを判断するには~古物営業とされる取引方法~
古物商許可が必要かを判断するには
リサイクルショップ開業には欠かせない古物商許可ですが、なぜ必要なのか・どうやって必要だと判断しているのかなど詳しくわからない人もいるのではないでしょうか。
許可が必要か不要かを判断するために見るべきポイント、それは下記に当てはまるかどうかです。
①取り扱う物が古物かどうか
②取引方法が古物営業に該当するか
この二点を確認し、両方に該当している場合は古物商許可の取得が必須となります。
該当するにも関わらず許可の取得を怠ってしまうと「無許可営業」として処罰の対象になります。今回は許可取得が必要とわかっている上での確認作業のようなものですが、古物営業法の規定には、申請時や取得後の決まり等も含まれています。当然それらを違反することも処罰の対象となりますので、古物商として勉強し理解するよう努めましょう。それもリサイクルショップ開業のための必要な準備です。
古物に該当する13品目
ではまずは①取り扱う物が古物かどうかについて見ていきましょう。
これに当てはまるかどうかを確認するのは簡単です。古物営業法で古物は以下13品目に分類されていますので、ご自身の取り扱う予定の物が以下に含まれているかどうかを確認してください。
1.美術品類 | 美術品価値を有するもの全て ex)絵画,彫刻,アンティーク |
2. 衣類 | 身にまとう繊維・革製品等 ex)婦人服,紳士服,子ども服 |
3.時計/宝飾品類 | 身に着けて使用される飾り物やし好によって選択されるもの ex)アクセサリー,宝石,腕時計 |
4.自動車 (部品含む) |
自動車及び自動車の本来的用法として一部に使用されるも ex)自動車,軽自動車,その他部品 |
5.自動二輪者および原動機付自転車 (部品含む) |
自動二輪車、原動機付自転車、これらの一部として本来的用法として一部使用されるもの ex)自動二輪者,原動機付自転車,その他部品 |
6.自転車類 (部品含む) |
自転車及び自転車の本来的用法として一部に使用されるもの ex)自動車,軽自動車,その他部品(空気入れやカゴ等) |
7.写真機類 | プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、 顕微鏡、分光器等 ex)カメラ,ビデオカメラ,レンズ,望遠鏡、天体望遠鏡,光学機器 |
8.事務機器類 | 主に計算、記録、連絡等の能率を向上させるために使用される機械等 ex)レジスター,パソコン,コピー機,電話.FAX,シュレッダー |
9.機械工具類 | 8.の事務機器類に該当せず、電機によって駆動する機械及び器具及び他の物品の生産、修理等のために使用される機械及び器具 ex)医療機器類,電気機械,土木機械,工作機械,家庭電化製品 |
10.道具類 | 上記1~9及び11~13に該当しないもの ex)日常品,スポーツ用品,家具,楽器,玩具類 |
11.皮革/ゴム製品類 | 主として、皮革又はゴムから作られているもの ex)鞄,靴,財布,毛皮類,化学製品(ビニール製、レザー製) |
12.書籍 | 絹布、紙等の軟質な素材に、文字、記号、図面等を筆写、印刷し装丁・製本したもの ex)漫画,雑誌,中古本,地図,辞書 |
13.金券類 | 金額が記載されているか、電磁的方法により記録されている証票その他のもの ex)商品券,各種入場券,航空券,乗車券,株主優待券 |
リサイクルショップでよく扱われているであろう大体の物が含まれていますので、大抵の場合は該当するでしょう。
古物営業法では古物ではないものについても定義していますが、それらはあまりリサイクルショップ等の類では見かけない物が多数です。
1.本来の使用用途から性質が変化したモノ | ex)リメイクして作られた財布やバッグ |
2. 消費して無くなるモノ | ex)食品,化粧品,サプリメント |
3.原材料になるモノ | ex)空き缶類,古新聞紙 |
4.再利用せずに捨てるモノ | ex)一般ごみ |
5.実体がないモノ | ex)電子チケット |
6.観賞用でもアクセサリーでもない貴金属 | ex)金貨,プラチナ |
7.大型なモノ
(重量が1トンを超える機械で、容易に運搬ができない状態にあるもの/重量が5トンを超える機械で、自走や運搬ができないもの) |
ex)航空機,鉄道車両,庭石, 石灯籠,総トン数が20トン以上の船舶 |
万が一、上記の【古物ではないモノ】に該当するものを取り扱う予定の場合は、古物商許可は必要ないことになります。
許可が必要な取引方法
では次に②取引方法が古物営業に該当するかについて見ていきましょう。
古物営業法では「古物営業とは何か」を定義しており、それらに当てはまらない場合は例え古物を取り扱おうとも”古物商許可は必要ない”としています。
【古物営業法(第2条第2項)】
この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
- 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
- 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
- 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)
古物営業法で定義されている古物営業は上記のように3つに区別されています。
それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
1.古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
この営業方法で取引を行う人が俗に古物商と呼ばれています。リサイクルショップのオーナーはこれに該当することになります。そして古物商が行う取引方法が以下3つです。
①古物の売買
店舗、インターネット上、対面、方法に問わずビジネス目的で古物売買をすることです。買い取った物をバラバラにし、中の部品だけを売る場合も同様です。
※但し、自身が既に売ったものを同一人物から買い取る場合はこれに当たりません。
②古物の交換
交換のみの場合でも古物営業とみなされます。但し、全ての交換行為がこれに当てはまるわけではありません。判断基準は取引回数と商品の類似性(同じ商品ばかりを交換)です。交換回数が多ければ多いほど、そして同類の物を交換しているほどビジネス性があると判断されます。また交換したあとに、得た物を利用して利益を得ているかどうかというのは最も重要な判断基準です。
※友人や同僚、家族間であっても度重なる交換行為、それらから利益を得ている等の場合は古物商許可は必ず必要となります。
③委託を受けて売買・交換
例えばヤフーオークションやその他オークションサイトでも、プロの売り手として第三者の物を売りにだしている人またはそのようなサービスを運営している会社があります。オークション系のサイトだと、過去の取り引き実績が多い人のほうが安心できるので、より早く高値で売れるケースが多く利用者も一定数います。頼む側であれば当然許可は必要ないですが、依頼を受けて他人の物を売買する場合は許可が必要となってきます。インターネットに限らず、お店などで行う場合も同様です。
これら上記の方法で古物商として取り引きを行う場合には、以下の通り相手方の本人確認をすることが義務付けられています。
【古物営業法(第15条)】
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
- 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
- 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
- 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名が行われているものの提供を受けること。
2.古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
これを古物市場主と呼びます。リサイクルショップの開業をめざしている人であれば古物市場主になることはそうないとは思いますが、古物商となれば古物市場主と一切関わりがないわけではありません。
古物市場主とは古物市場を経営する人のことをいいますが、古物市場とは古物商の間で売買・交換が行われる市場で、お目当ての物を安く大量に仕入れることができる古物商にとっては夢のような市場です。仕入れを安く抑えることは古物商としてビジネスをする上で非常に大事なポイントとなります。※古物市場は古物商のみ参加可能
古物市場主は市場の提供・運営・管理をしますが自身が取引自体に関わることはありません。取引が行われる以上は盗品や偽物などが紛れている可能性もないとはいえませんので、万が一の場合に備え、取り引きが適正に行われるように現場の責任者としての役割を果たしています。
3.古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)
これを古物競りあっせん業者と呼びます。古物競りあっせん業は、インターネット等を通じてオークションを運営し収益を得る営業方法です。”売りたい人”と”買いたい人”をインターネット上で結びつけ競りによつて売買が成立するようあっせんし、サービスの利用者から受け取る手数料等で利益をだしています。
自身は古物の『売買を行わない』『売買に関与しない』あくまでも売買の場を提供するだけというのがポイントとなり、上記1.2との大きな違いは古物競りあっせん業者の場合は古物商許可が必要ないということです。
自身が取引をしないという点では古物市場主も同じではありますが、古物市場は古物商限定の市場で取り扱われるものは古物です。一方、古物競りあっせん業者が営むとされるオークションでは、(中には古物商としての取り引きでサイトを利用する人もいますが)多くは一般の人が参加し取り扱われるものは個人の不用品などが主です。警察管轄の下に古物商許可取得を義務付ける目的は、盗品などの流通を取り締まることなので、盗品等が出回る確率が低いとされている古物競りあっせん業者の営業方法では古物商許可が不要とされています。但しその代わりに、以下規定に基づきサイトを開設し営業を開始してから必ず2週間以内に所在地を管轄する警察署に届出書とその他必要書類をださなければいけません。
【古物営業法(第10条第2項)】
古物競りあつせん業者は、営業開始の日から二週間以内に、営業の本拠となる事務所(当該事務所のない者にあつては、住所又は居所をいう。以下同じ。)の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において、届出書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。
- 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
- 営業の本拠となる事務所その他の事務所の名称及び所在地
- 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
古物競りあっせん業者営業開始届出書はここから
記載例
許可が不要な取引方法
簡単に言うと上記に該当しない方法であれば、許可は不要となります。ビジネス目的での買取行為がない場合はこれに当てはまります。
例えば、
→自分の不用品を転売
→新品の物を転売
→無料で貰った物を転売....等
これらの方法でリサイクルショップやインターネット上で古物に該当するものを販売したとしても、許可は必要ありません。
とはいっても自分の不用品や無料で貰った物を転売するには限界があります。少なくともリサイクルショップなどを長期的に運営していく上では難しいといえます。無料回収などで不用品を引き取り転売するなども可能ですが、その場合は一般廃棄物収取運搬業許可などの別の許可の取得が必須となってきますので注意が必要です。
念のため許可が不要な取引方法のお話しもしましたが、リサイクルショップの開業を目指している人は基本的には古物商許可の取得が必要だと覚えておいてください。また当ブログでも紹介していますが、リサイクルショップ開業の仕入れ資金捻出のためオークションサイトを活用するのは一つの手です。
古物商許可の申請準備と並行して賢く立ち上げ準備の方も進めると良いでしょう。
では今回はここまでです。それではまた。
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